ゆらゆらと首振りをする様子が可愛らしい赤べこは、福島県会津地方生まれの郷土玩具。
頭部を軽く押すといつまでも首振りを続け、見る人を飽きさせません。
この赤べこの首振りには、どんな意味や理由があるのでしょうか?
赤べこの首振りの仕組み

そもそも、どういう仕組みで首振りをするようになっているの?
赤べこの首振りの秘密は「糸」にあります。
まず赤べこは胴体部分と首の部分を別々に作るのですが、首を胴体にくっつける時、固定してしまうのではなく、胴体から首を吊るすようにして糸で結びます。
このようにして、ゆらゆらとした首振りの動きを実現しているのです。
赤べこが首振りをするのはなぜ?
さて、それではなぜ赤べこが首振りをするのか?
その意味や理由については、実は確実なところが分かっていません。
諸説ありという状態ですが、いくつか首振りの意味・理由について解説・推測されている内容をご紹介します。
見飽きさせないため
ゆらゆらと首振りをしている様子は、見る人を飽きさせず、ずっと見ていられる魔力があります。
実際のところ、赤べこにこの首振りの仕掛けがついていなければ、ここまで人気を博すこともなかったでしょう。
また赤べこ職人は特にこの首振りに気を遣い、長く揺れ続けるように作ることにこだわるそうですので、首振りは赤べこが赤べこである要素の1つとして重要な意味を持っていると言えます。
子どもを喜ばせるため
赤べこが生まれた当時は子ども向けのおもちゃや玩具がそもそも少なかったうえ、一部が動くような仕組みや仕掛けを持っているものはさらに数が限られていたと考えられます。
赤べこを手にした子どもたちが、首振りの仕掛けで喜んで遊んでもらうためのものであったという説があります。
本物の牛を模した
牧場などで牛を見ていると、よく首を上下に動かしている様子が見られます。
特にエサを食べているときなど、体はほとんど動かさず首を下げてエサを口に運ぶ→首を上げて咀嚼する、の繰り返しで、ほとんど赤べこと同じような動きをしていることが分かります。
当時の赤べこ職人が、この動きをマネするように首振りの仕掛けを作ったという説もあります。
他の郷土玩具や民芸品を真似た
歴史的な検証については定かではありませんが、国内の他の郷土玩具・民芸品の動きを真似たのではという説も存在します。
例えば赤べこと同じ仕掛けをもつ民芸品として、張り子の虎があります。
もし赤べこを生み出した職人がこの張り子の虎を見たことがあったとしたら、これを参考にして首振りの仕掛けを作ったということも十分に考えられるでしょう。
赤べこの首振りの意味についてのまとめ
赤べこの首振りの意味や理由についてここまで解説してきましたが、本当のところは定かではない、というのが実態です。
真実が気になるところではありますが、諸説あり根拠を示すのがほとんど不可能なものについて「これに違いない!」と断定するのは野暮というものでしょう。
自分の好みの説を信じて、当時の生活や様子に想いを馳せるのが歴史の楽しみ方なのではないでしょうか。
コメント