爽やかな新緑をイメージさせるライムグリーン。
日本ではあまり良くないイメージはありませんが、実は欧米では不吉なイメージが強く持たれています。
この記事では、一体なぜライムグリーンが欧米では不吉な色とされているのか、その理由や由来を解説します。
またバイク好きな方はもちろん知っていると思いますが、「ライムグリーンといえばカワサキ!」と自然に連想してしまうほど、カワサキバイクのイメージカラーはライムグリーンとして強く印象付けられています。
後半では、欧米では不吉とされているライムグリーンをなぜカワサキがイメージカラーとして採用したのかも解説します。
ライムグリーンは不吉な色?理由や由来を検証
そもそもなぜ欧米ではライムグリーンが不吉な色として考えられているのでしょうか。
これはライムグリーンを含む緑色が、欧米では「毒」や「死」を表す色だとされているからです。
ライムグリーンから「毒」がイメージされる理由
1890年代にキュリー夫妻によって発見されたラジウムは、暗闇でライムグリーン色に光り輝くという性質があります。
この光はとても美しい反面、ラジウムは放射性物質であるため、人体の近くに置いておくと放射線によって体に悪影響を及ぼしてしまいます。
ラジウムの発見後しばらくは、信じられないことに「ラジウムは健康に良い」と宣伝されていたため、食べ物や水、塗料などに積極的に使われていたことがあり、この結果大量の死者や放射線中毒者を生み出してしまいました。
戦前の19セイコー24時間表記。針と文字には蛍光塗料が塗られている。もう光らないけど。夜光塗料が出始めた頃のアメリカでは放射性物質のラジウムを使っていたため工場で働く女性たちが放射線中毒になってしまうという悲しい事件がありました。#懐中時計 pic.twitter.com/mm8IwU5EFm
— 壊れた懐中時計 (@kowaretapw) January 28, 2020
また銅も、サビたり特定の化合物にすると「緑青(ろくしょう)色」と呼ばれるいわゆるライムグリーンに近い色となる性質があります。
この緑色もたいへん美しいため、顔料・塗料として広く使われていましたが、やはり人体にとっては有毒で、多くの中毒者を生み出してしまいました。
このように、これまで発見されたライムグリーンの物質の毒性により多くの患者や死者が出たことから、欧米では毒のイメージが定着してしまっています。
ゲームをしたことがある人は直感的に分かるかもしれませんが、例えばゲーム内で何らかの毒を与える攻撃があったとしたら、その攻撃のエフェクトは緑色ではないでしょうか?または、毒を受けた状態になったとき、緑色のエフェクトや文字で表示されませんか?
これは、欧米での「グリーン=毒」のイメージに影響されたものなのです。
ライムグリーンから「死」がイメージされる理由
これは、一般的に遺体を火葬することが多い日本ではちょっとイメージが沸きづらいかもしれません。
今でこそ火葬が選択されることも増えてきましたが、欧米では遺体をそのまま土の中に埋める、いわゆる土葬が古くから一般的な埋葬方法とされてきました。
遺体には時間経過とともに死斑(しはん)とよばれる斑点が体じゅうに現れますが、さらに時間が経つと、この死斑がライムグリーンに似た青緑色に変化してきます。
欧米では宗教上の理由から、埋葬後に遺体を掘り返すことがしばしばあったのですが、このときに緑色の死斑が全身に現れた遺体を目にして、ライムグリーン=死というイメージが定着したものと考えられます。
実際に、西洋生まれのゾンビをはじめとした、ホラー映画に出てくるようなモンスターは、見た目や体液が青緑色をしていることが多いですよね。
これはライムグリーンが象徴する死のイメージを表現したもののひとつだと言えます。
カワサキはなぜライムグリーンを選んだのか?
ここまで説明してきたとおり、ライムグリーンには「毒」「死」のイメージがつきまとうため、欧米では不吉なイメージが定着してしまっています。
しかしながら、この不吉とされている色をあえてイメージカラーにしてしまったのが、バイクメーカーとして有名なカワサキバイク(以下「カワサキ」)。
カワサキ、45馬力を発揮する『Ninja ZX-25R』の価格を発表。3色展開で9月10日から発売開始 https://t.co/j8dt4I9T4F #Kawasaki #カワサキ #バイク #Ninja #ZX25R pic.twitter.com/NlNhvpRUKv
— autosport web/オートスポーツweb (@AUTOSPORT_web) July 17, 2020
あまりにも有名すぎて、バイク通の間ではライムグリーンではなく「カワサキグリーン」とよばれているほどです。
とはいえカワサキも最初からライムグリーンを採用していたわけではなく、初期のメーカーカラーは「赤」でした。
その後カワサキが1960年代後半に参加した北米の伝統的なレース、デイトナ200マイルで、初めてライムグリーンをあしらったバイクが登場したのです。
一般的にライムグリーンは不吉な色とされ、他のメーカーでは絶対に選ばないカラーリングであったため、このバイクが初登場した当時は衝撃的で、レース界に大きなインパクトを与えました。
縁起をかつぐ傾向が強いレース界であえてライムグリーンを選んだカワサキの思惑としては
・誰もが選ばない色を採用することで自らが「常識を打破する挑戦者」であることを示した
などがあるとされています。
その後、ライムグリーンをまとったカワサキのレーサーバイクは、不吉なイメージを跳ね飛ばし好成績を収め続けたことから「グリーン・モンスター」などと呼ばれるようになりました。
ライムグリーンにまつわる不吉なイメージまとめ
ここまで説明してきたとおり、ライムグリーンには「毒」「死」のイメージがあるため、特に欧米では不吉な色とされています。
そのため欧米の方と接したり、何かプレゼントをしたりするときには、本人が「ライムグリーン大好き!」と公言している場合を除いて、基本的にライムグリーンやそれに近い色は選ばないほうが無難といえるでしょう。
逆に、一般的にある程度の嫌悪感や不安を感じさせることを承知のうえで大きなインパクトを与えたい、目立たせたいという場面がもしあるならば、カワサキのようにあえてライムグリーンを使って目を引くということも一つの手ではあります。
どの国や地方でも、色にまつわるイメージというものは必ずあるので、きちんと由来や意味をおさえて賢く使いましょう!
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