行政手続法における申請拒否処分のポイント2点!行政書士試験の過去問を押さえよう

civil-procedure その他

行政手続法には、行政庁への許可、認可、免許その他自己に対する利益を付与する処分を求める行為(申請)に対する処分について定められています。
行政庁は、申請がなされたときは遅滞なく審査を開始し、諾否の応答をしなければならないことになっていますが、この申請の内容に不備がある、あるいは審査基準に合致しない場合は申請拒否処分が行われることになります。

申請拒否処分については、次のポイントが重要になりますのでしっかり覚えておきましょう。

・申請拒否処分は、行政手続法における不利益処分に該当しない
・標準処理期間を超えても許可・認可等が出ない場合でも、自動的に申請拒否になるわけではない

不利益処分に該当しないため、申請拒否にあたって聴聞を行う必要はありません。
また拒否の理由については、全てのケースについて明らかにするわけではありません。審査基準に照らして合致しないことが明らかであれば特に理由を示す必要はなく、理由について申請者の求めがあった場合のみ示せばOKです。

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過去問の例

・行政手続法における申請拒否処分は、不利益処分の一種であるから、こうした処分にも、不利益処分に関する規定が適用される

誤り。申請拒否処分は行政手続法上の不利益処分に該当しない(行政手続法2条4号ロ)。したがって、申請拒否処分には不利益処分に関する規定は適用されない。
・行政手続法における申請拒否処分についても、相手方の権利に重大な影響を及ぼす許認可等を拒否する場合などには、事前の聴聞が義務付けられている。

誤り。事前の聴聞が義務づけられるのは、行政庁が不利益処分をしようとする場合である(行政手続法13条1項1号)。そして、申請拒否処分は不利益処分に該当しない(2条4号ロ)。したがって、申請拒否処分については、事前の聴聞は義務づけられていない。
・行政手続法における申請拒否処分の理由については、理由を示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合には、処分後相当の期間内に示せば足りる。

誤り。「理由を示さないで申請拒否処分をすべき差し迫った必要がある場合には、処分後相当の期間内に示せば足りる」とする規定はない。なお、本問のような内容の規定は、不利益処分をする場合に適用される(行政手続法14条1項ただし書)。
・行政手続法において、公にされた標準処理期間を経過しても申請に応答がなされない場合には、申請拒否処分がなされたものとみなされる。

誤り。「標準処理期間を経過しても申請に対する応答がない場合には申請拒否処分がなされたものとみなす」という規定は、行政手続法上存在しない。

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