2021年FP試験2級に向け地道に勉強中です。
過去問からの出題と解説。
所得税の原則的な計算手順
2015年5月試験からの出題です。
所得税額の原則的な計算手順として、最も適切なものはどれか。
(イ)配当控除や住宅借入金等特別控除などの税額控除を行う。
(ウ)医療費控除や配偶者控除などの所得控除を行う。
(エ)所定の税率を乗じて、算出所得税額を計算する。
(オ)損益通算、純損失・雑損失の繰越控除を行う。
2.(ア)→(オ)→(ウ)→(エ)→(イ)
3.(ア)→(エ)→(イ)→(ウ)→(オ)
4.(ア)→(オ)→(イ)→(エ)→(ウ)
これは何度か確定申告をやればほぼ確実に正解できる気がします。というか逆に確定申告やったことがないと丸暗記せざるを得ないので結構難しいのでは・・・。
試験勉強全般に言えることですが、頭の中の知識は実際の経験とリンクすることで強く印象に残り、忘れにくくなります。もしFP試験の勉強中だけども一度も確定申告をしたことがない!という方は、医療費控除でもふるさと納税でも何でもいいので確定申告が必要な理由を作ってやってみることをオススメします。
ということで手順を順に見ていきますが、まずは(ア)が先頭に来るのは確実です。どの選択肢も(ア)が先頭なので。
これは所得金額の計算ということで、例えば給与や事業収入などの所得を計算します。それぞれ計算方法は違っていて、給与収入であれば社会保険料などが引かれた結果の所得額が源泉徴収票に書いてあるのでその数値を使えば良いですし、事業所得であれば基本的に「収入-経費」が所得額となります。
次に(オ)です。繰越控除というのは、簡単に言えば過去の年の深刻で赤字(マイナス)になった分を今年の所得(プラス)とぶつけて相殺するものです。
おおざっぱな例ですが、例えば昨年台風被害で500万円の被害が出て、その年の所得が200万円だった場合は300万円のマイナスなわけです。
その損失(300万円)を今年に繰り越し、例えば今年の所得が400万円だった場合は相殺して所得を100万円にする・・・ということができるのです。
(繰り越しができる条件は、申告の方法や赤字(マイナス)の種類によって異なりますので、詳しくは個別の状況に応じて要確認です)
そして次に(ウ)で、医療費控除や配偶者控除などの所得控除を行います。
ここまでで最終的な所得が確定するので、これに(エ)所得税率を乗じて、税額を計算します。
最後に(イ)配当控除や住宅借入金控除などの税額控除を行うことになりますので、最終的な回答は「2」となります。
正答のポイント
まずは先ほども話した通り、確定申告の経験がない人は一度やってみることをオススメします。
理屈が分かってしまえば無駄に暗記する必要もなく簡単に解けますし、自分の税金がどのように決まっているのか、どこをどうすれば増えるのか/減るのかは感覚としてつかんでおくことは今後の人生に必ずプラスになります。
またこの問題でもうひとつ押さえておくべきことは「所得控除」と「税額控除」の違いです。
どちらも控除なので混同しがちですが、仕組みが全然違うのでこれは必ず知識として持っておきましょう。
・税額控除は「(最終的な)税額から控除する金額」
です。
具体例を挙げてみましょう。
課税所得300万円、所得控除が20万円の場合
課税所得から所得控除額を引いて税額を決定するので、300 – 20 = 280万円が課税所得となり、所得税額は18.25万円となります。(計算過程割愛)
所得から控除額を引いた後に税額が決定するため、税額への影響額は「控除額×税率」となります。
課税所得300万円、税額控除が20万円の場合
課税所得に対して税率をかけて税額を決定したあとに税額控除の額を引きます。つまり
総所得300万円に税率をかけて20.25万円が税額となり(計算過程割愛)、ここから税額控除分20万円を引くため、所得税額は0.25万絵円になります。
税額控除は所得控除と違い、その額全てがダイレクトに税額に反映(減額)されます。あまりにも税額に与える影響が大きいため、税務署の職員はこの税額控除を得るために積極的に住宅ローンを組むのだと言われるほどです。(住宅ローンは税額控除)
このあたりはFP2級を受けるなら必ず押さえておきましょう!
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