インスリン注射を続けると自分のインスリンが出なくなる?糖尿病のウソ/ホント

健康

糖尿病は血液中の血糖値を正常に保てなくなる病気のため、高血糖状態を防ぐためにインスリン注射をすることがあります。

インスリンには血液中の血糖値を下げるはたらきがあるため糖尿病に有効なのですが、一方で、「インスリン注射を打ちすぎると、自分の臓器からインスリンが出なくなってしまうのでは?」という疑問を持たれることもあります。

元々インスリンは膵臓(すいぞう)から分泌されるのですが、注射という形で体外から入れられると、本来膵臓から出るはずだったインスリンが出なくなってしまうのでは・・・という考え方ですね。

しかしこれは逆で、インスリン注射をすることで膵臓の働きが回復し、インスリン分泌機能は改善することが明らかになっています。

どのようなメカニズムでそうなるのか、詳しく解説します。

スポンサーリンク

膵臓の機能を低下させる「糖毒性」

そもそも血液中の「糖」とは人体にとって毒です。

したがって、糖尿病によって血液中の血糖をコントロールできず、高血糖状態になると、糖の毒によって体の中の様々な臓器へ悪影響を引き起こします。

これを「糖毒性(とうどくせい)」とよび、認知症・がんの悪化、血管系の疾患を引き起こしたり、インスリンの分泌を行う「膵β細胞(すいべーたさいぼう)」に悪影響を与えてインスリン分泌を抑制します。

つまり高血糖状態により膵臓が糖毒性を受けると、インスリンの分泌能力が低下してしまうためさらに高血糖状態を引き起こしやすくなる・・・という負のスパイラルになってしまうのです。

ただしこの状態になってから比較的短い期間内にインスリン注射などを打てば、血糖値が下がることにより膵臓の糖毒性を解除し、膵臓のインスリン分泌機能が復活する可能性がありますが、糖毒性状態が長期間続くと機能回復が難しくなります。

スポンサーリンク

早期治療が糖尿病の改善のカギ!糖毒性状態を防ごう

「一度インスリン注射(インスリン療法)を始めると、一生注射を打ち続けなければならない」というイメージが根強い糖尿病ですが、これまで解説したとおり、早期にインスリン注射で手を打ち糖毒性状態を解除できれば、自分の膵臓のインスリン分泌機能が回復し、その後インスリン注射を打たなくてもよくなる可能性が残されています。

どんな病気でも早期発見・早期治療がカギですが、糖尿病も定期的な診断で早めに発見し、医師からインスリン注射を勧められたら渋ることなく一刻も早くインスリン注射を打ちましょう。

繰り返しますが、血液中の糖分は人間にとっては毒なのです。

高血糖による糖毒性状態で体の中がボロボロにならないよう、糖尿病への対処はできる限り早めに行いましょう!

コメント