三次喫煙(サードハンド・スモーク)って何?健康リスクについての解説

健康

2018年7月に改正健康増進法が公布され、受動喫煙の防止対策がより強化されています。

喫煙や受動喫煙の害については既に広く知られているところですが、まだまだ日本では規制が十分とは言えません。

この記事では日本の規制と世界の常識との比較、そして「三次喫煙(サードハンド・スモーク)」と呼ばれる、喫煙後の呼気や衣類のたばこ臭の被害について解説します。

スポンサーリンク

喫煙・たばこは健康の大敵!健康リスクのおさらい

日本人の死因のトップといえば何でしょう?

健康意識の高い方は「がん(悪性新生物)」「心疾患」などを挙げられると思いますが、これらは死亡に至った疾病や症状として最終的に現れたものであり、これらには必ず「原因」があります。

厚生労働省が発表する「健康日本21」では、日本人の死因となった疾病の原因(リスク要因)が示されており、これによるとトップは「喫煙」となっています。(ちなみに2位は高血圧)

喫煙を原因とする疾病は

・がん(悪性新生物)
・循環器疾患(心筋梗塞・脳卒中など)
・呼吸器系疾患(慢性閉そく性肺疾患など)

などが挙げられ、これらによって死に至った方の数は毎年約13万人とされています。

改正健康増進法が施行された今でも、喫煙は日本人の健康にとって最大のリスクとなっているのです。

スポンサーリンク

世界のたばこ規制と日本の現状

喫煙による健康リスクは世界でも危機感を持って取り上げられており、世界保健機関(WHO)では2005年に「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(たばこ規制枠組条約)」を発行しています。

この条約には

・たばこの課税や価格政策の実施
・屋内の全面禁煙化
・たばこの害についての教育、情報の伝達、訓練、啓発
・たばこ広告、販売促進の禁止
・未成年への販売と未成年者による販売禁止

などが含まれており、既に多くの国や地域が批准・推進し全世界での喫煙規制が進んでいます。

特にこの中で、WHOは受動喫煙対策として、屋内での全面禁煙化(喫煙室・分煙室などの設置も許可しない)を掲げています。

これを受け、イギリスやブラジル、ロシアなどでは一般企業やレストラン・バーなども含めて屋内完全禁煙を実施する法律が既に2016年あたりまでに施行されています。

一方、日本では2003年に健康増進法が施行され、受動喫煙防止が掲げられたものの、喫煙室や喫煙スペース、分煙室があれば屋内でも喫煙が認められたことから、屋内全面禁煙とはならなかった経過にあります。

2018年の改正健康増進法でも、屋内は「原則」禁煙であり、一定の要件を満たせば喫煙室を設置することが可能とされているため、屋内完全禁煙とは言えない状況にあります。

WHOの規制に倣えば屋内は完全禁煙にすべきですが、この点日本は世界の意識に後れを取っていると言わざるを得ません。

スポンサーリンク

三次喫煙(サードハンド・スモーク)と健康リスク

例えばあなたにも、こんな経験がないでしょうか?

・喫煙者の息や衣類からたばこ臭さを感じた
・たばこの煙が充満した空間(居酒屋・パチンコ)から帰宅すると服や髪の毛がたばこ臭い

これは、たばこから発生するタールの微粒子が原因です。

たばこをくわえる口から漂ったタールの微粒子は、気管支粘膜や服、髪の毛などに付着し、有害なガスを発生し続けます。

このガスによる健康被害は「三次喫煙」とよばれ、学術的には「サードハンド・スモーク」という言葉が使われます。
(「残留たばこ成分」などと表現されることもある)

三次喫煙は、直接的な被害として例えば

・気管支喘息の患者の発作を引き起こす
・つわりの時期の妊婦に吐き気を催させる

などが挙げられており、また間接的にはガスに含まれるニコチンが発がん性物質に変化し、人体に影響を与えると言われています。

研究の結果、三次喫煙の影響は喫煙後約45分続くとされており、既に一部の先進的な公共機関や大学では、喫煙後45分以内の敷地内立ち入り禁止、エレベーターの利用禁止などが実施されています。

スポンサーリンク

三次喫煙の健康リスクまとめ

ここまでたばこの健康被害や三次喫煙の健康リスクについて解説してきましたが、現時点の研究報告では、三次喫煙の健康リスクは受動喫煙に比べると低いと言えます。

とは言え、全く健康リスクがないわけではない、少なくとも健康上良いものでは決してないということを考えると、たとえ相対的に低リスクであっても規制されることは仕方ないのではと思います。

十数年前から比べると喫煙者に対する締め付けや規制がどんどん厳しくなってきており、人によっては正直なところ「そこまでする必要ある?」と感じられることもあるでしょう。

しかし受動喫煙、三次喫煙は、非喫煙者の立場からすると自分に全く非はなく、喫煙者から一方的に押し付けられる、避けられない健康被害です。

極論で例えるならば、自分に全く罪はないのに通りすがりに殴られた、通り魔被害にあったのと本質的には変わりありません。

個人的には喫煙者に同情する部分もあるのですが、健康リスクが立証されている以上、喫煙者には受動喫煙・三次喫煙を防ぐ配慮がルールとして必要なのではないかと思います。

コメント